玄関に靴を収納するためのシューズクロークが住宅設計で注目されています。家族の靴をすっきり片付けられる実用性だけでなく、暮らしの質を高める工夫としても人気です。この記事では、様々なタイプの特徴から、導入する際の長所・短所、そして選ぶ際の重要なチェックポイントまで、シューズクロークの基本情報を紹介します。
シューズクロークの種類
シューズクロークには、大きく分けて二通りの基本パターンがあります。それぞれの特性や利点を理解することで、住まいに最適な形を選ぶことができます。ウォークインタイプ
まず一つ目は「ウォークインタイプ」です。このパターンは、玄関から土間続きの収納エリアに一つの入口があるものです。壁全体を棚として活用でき、高さや幅を自由に調整できるメリットがあります。限られたスペースでも設置しやすく、収納力も高いという特長があります。物の整理がしやすい反面、ある程度の面積が必要で、一度靴を履かないと中の物に手が届きにくい点が課題となります。
ウォークスルータイプ
二つ目は「ウォークスルータイプ」です。玄関の土間から収納エリアを通って別の部屋(例えば洗面所など)へ移動できる構造になっています。出入口が二か所あるため、日常の移動がスムーズです。来客用と家族用の入口を分けられるので、訪問者があった際のプライバシー保護にも役立ちます。ただし、通路確保のため収納量が少なくなりがちで、土足エリアを通るため家の中にほこりが入りやすくなる欠点もあります。
入口の仕切り方によっても分類は変わる
また、入口の仕切り方によっても二種類に分類されます。「オープンタイプ」は扉がなく、出入りが自由なタイプです。手がふさがっていても利用しやすい利点がありますが、中身が見えるため常に整理が必要で、靴の匂いが広がりやすい欠点があります。布製のカーテンなどで目隠し対策も可能です。一方「クローズタイプ」は扉つきで内部が見えないようになっています。玄関がすっきりして見た目が良く、来客時も安心です。ただし、扉の設置コストと開閉の手間がかかり、そのスペースも確保する必要があります。住まいのスタイルや間取り、家族の動きを考慮して、最適な収納タイプを選ぶことが快適な生活につながります。
シューズクロークを設置するメリット・デメリット
ここからは、シューズクロークを設置するメリット・デメリットを見ていきましょう。メリット
最も大きなメリットは、収納容量が大幅に向上することです。玄関の隣に土足で入れる広いスペースがあれば、履物だけでなく、上着や子供用の乗り物、レジャー用品、子どもの遊び道具など様々な物を一箇所にまとめられます。外で使用する物を家の中に持ち込まずに保管できる点も大きな利点です。土間タイプの保管場所なので、外からの汚れや砂を住居内部に広げることなく、清潔な環境を維持できます。
また、日常の移動がよりスムーズになります。靴を脱がずに準備や片付けができるため、帰宅時や外出時の行動が効率的になります。とくに通り抜けできる構造の場合は、洗面エリアなどへの移動がしやすく便利です。
さらに、玄関エリア全体が整然とした印象になります。保管スペースが確保されることで入口周辺の物が減り、見た目が改善され訪問者への印象も向上します。
デメリット
一方で、シューズクロークの設置には相応の広さが求められます。最低でも1畳から1.5畳程度は必要で、子供用の乗り物なども収めるならそれ以上の空間が必要となるため、狭い住宅では導入が困難な場合があります。また、靴を履いたまま入るエリアのため、定期的な掃除が欠かせません。地面の汚れや微粒子が入りやすく、蓄積しやすいので清掃の手間が増えます。さらに、匂いが集中しやすい点も課題です。履物の臭気や湿り気が溜まりやすく、空気の入れ替えや消臭対策が不可欠になります。
扉の有無によって香りの拡散度合いが異なり、配置によっては使いづらさが生じることもあります。棚の配置や通路の幅を考慮しないと、移動が不便になったり保管効率が低下したりするかもしれません。
シューズクロークを選ぶ際のポイント
シューズクロークを選ぶ際、最初に検討するべきことは基本構造です。入口が一か所の「ウォークインタイプ」は壁面全体を収納として活用でき、限られた玄関でも設置可能です。保管力を優先するならこの形式が適しています。一方、二か所の出入口がある「ウォークスルータイプ」は来客用と家族用の動線を分けられますが、保管スペースは減少しがちです。次に入口の仕切り方を考慮しましょう。
扉のない「オープンタイプ」は出入りがスムーズですが、中身が見えるため整理が欠かせず、匂い対策も必要になります。「クローズタイプ」は扉があり見た目がすっきりする反面、設置に余分な空間が必要で費用も増加します。
さらに、保管したい物の種類と量に合わせた広さも重要です。履物だけなら1畳程度でも十分ですが、子供用乗り物や屋外活動グッズも入れるなら1.5畳以上が望ましいでしょう。
人の流れと通路の幅も確保すべきです。特に通り抜けタイプでは80cm以上の幅があると、複数の家族が同時に使用しても不便がありません。